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学問の力 / 佐伯啓思 (NTT出版)

日本の学問の危機を語ったものです。なぜ危機か。それは日本の学問の世界における「教養」が衰退したからです。佐伯さんは主に文科系の学問に焦点を当てて語っています。この「教養」という言葉に関して僕流に解釈をしておきます。学問は未知の対象に分け入る活動です。だから科学とは開拓です。そこには当該科学分野の自分なりの見取り図と、自分なりの方向性・価値観を持つ必要があります。これが教養ということでしょう。
特に複雑な対象であるほどこの教養は重要になります。理系に関して言えば、佐伯さんも述べているように、相対的に重要性は小さいかもしれません、しかし、学問の動機を根本で支えるものはやはりこの教養なのでしょう。
僕が具体的に科学者になることを目指すようになったのは90年代です。時代の流れはポストモダン的な思潮がもてはやされ、世界に対する系統的認識はすっかり相対化されました。学問状況もそれにつれて佐伯さんの言う「教養の衰退」とも言うべき時期を迎えました。佐伯さんによれば、狭い専門の枠の中からの発想しかなく、それを機械的に世界に当てはめる手合いか、あるいは世界のすべてを相対化し、さまざまな学問的な成果を適当に切り貼りしておもしろげに提示する手合いかに、学問の世界は分裂します。
こういう状況下でいかにして自らの科学活動をめぐる状況を大づかみにして価値観を確立していくかが問われています。自然科学は当面の研究は確かにこういった大きな認識なしにでもすすめることができます。しかしそれでは行き詰まるときが必ずやってくる。このことをいまより多少なりとも意識し、心に刻む必要がありそうです。そういう警告の書として読みました。
当面来たるべき自らの後期からの教育活動、研究活動のバックボーンを明確にしていく作業に、本腰を入れていきたい。狭い意味での成果主義や、「おもしろい授業」などといった次元にとどめない視野の広い思考を、と、我が母校(京大)の知性に諭されたものと、正面から受け止めたいと思います。

その他、日本社会のあり方に関する問題提起としても、とても射程の広い議論をされています。学問に関係ない人にもぜひ一読をおすすめします。特に、日本社会に対するそこはかとない閉塞感を感じている人々に。
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象(Zoo)

  • Author:象(Zoo)
  • 理系研究者です。科学好き、やや社会派、体を動かすのも好きです。

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