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科学・技術・魔法・魔術

人に教えてもらって、物理学会でのシンポジウム「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」についてというページを見ていて面白かったのだが、今回は関連する少し瑣末な話題を。
菊池誠氏の講演資料で、「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」というアーサー・C・クラークの警句が引用されていた。この警句の真意はいったい何なのだろう? すっきりしないなぁと思っていたら、暗之云の云之庵さんのブログ「高度に発達した○○は…」で重大な事実が。原文に当たると、訳文で「科学」とされている部分は technology なのである。これは「科学」ではなく「技術」と訳すのが正解。意味も変わりそうだ。
科学(とりあえず自然科学に限っておきます)というのは、自然の仕組みを理解することです。クラークの警句がなんだかしっくりこないなぁと思っていたのは、高度に発達した科学は別に魔法じゃないという感じがするから。
人は科学が発達すると際限なく人間の可能なことが広がっていくというイメージを持つかもしれないけれど、むしろ科学が発達することによって「何が不可能か」ということがわかってきたという面もある。たとえば物体は光の速度を超えることは原理的にできないということがわかってきた。「ちょいとおとなりの銀河に日帰りで行ってくるよ」みたいなことは未来永劫実現しそうもない。しかも物体は加速するにしたがって重くなるので、より加速するには莫大な燃料が必要。その上、物質の持つエネルギーはE=mc2の式で有限ということが解っているから、宇宙船を加速する燃料をどのように有効に使っても、この限界を超えてエネルギーを取り出すことはできない。
しかも燃料そのものの重さが加速の邪魔をするのだから始末が悪い。加速のための燃料自体が加速の足かせになるのだ。もし食料をすべて積んで自転車で世界一周をしようとしたらどうなるか考えてみればいい。

アインシュタインの相対論が出る前は、宇宙をまたにかけて活躍する宇宙船なんとか号みたいな話が作りやすかったのに、アインシュタイン後にはとても作りにくくなった。これを乗り越えるために、ワープがよく使われているけれど、実はこれが可能になると時間順序が一意でなくなるため、因果律が深刻な危機に瀕する。要するに「高度に発達した科学は案外魔法っぽくない」というのが僕の実感だ。

だが、上述の暗之云の云之庵さんのページで、衝撃的な事実を知った。クラークの原文を当たると、

Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.


となっているのだ。「高度に発達した技術は魔法と区別がつかない」が正しい訳である。
技術というのは、科学を基礎としながら、それを実際に役立つところまで高める工夫のことだろう。たとえば、トランジスターの原理を明らかにするのは科学だが、それをシリコンウェハーの上に莫大な数作りこんでしまい、猛スピードで計算をする機械を作っちゃう。これが技術である。
高度な技術は「できそうもない」ことを可能にする高度なからくりのこと。すなわち大マジックショーなのである。「高度に発達した技術ってなんだか大マジックショーみたいだねぇ」とクラークは言っているのだ。とすると、なんだか当たり前のことを言っているだけのような気もしてくるわけだ。
訳が変なために、なんだか意味深になってしまった句、なのだろうか?
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  • Author:象(Zoo)
  • 理系研究者です。科学好き、やや社会派、体を動かすのも好きです。

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